こんにちは。

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山口県立美術館で7月26日から開催されている「放浪の天才画家 山下清展」に行ってきました。もちろん、メンバーズカードで…。

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山下清は「裸の大将」のモデルで有名で、緻密で色鮮やかな貼り絵による独特の世界を確立し、「日本のゴッホ」と称されています。

小学生の頃、確か一度、山口県立美術館に来たのを観に行った記憶があります。なので、今回は2度目となります。…と言っても、30年くらいは経っているので、また違った見方で楽しむことができると思います。

ボクの記憶にある作品は、大体1950~60年代のものです。…と言ったら、今から60年以上も前の作品です。ボクが初めて観たのは、制作されてから30年経ったもの…、その頃からさらに30年経っています。

山下清の貼り絵は、市販されている一般的な色紙を素材としているので、非常にデリケートで、月日が経つにつれて褪色(色あせ)、剥落、カビなどの劣化が顕著となっていたようです。

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そのため、世界的な作品修復家の「岩井希久子さん」に依頼し、2001年からスタートしたそうです。いわゆる、絵のお医者さんである岩井さんは、その道の一流の人を密着するNHKの番組、「プロフェッショナル仕事の流儀」で紹介されたのを観たことがありました。確かそのとき、山下清の作品の修復も映っていたように思います。

褪色、酸化による変色、カッピング(小さく紙片がめくれあがった状態)、糊の表面の細かいひび割れ、カビ、テープステイン(テープの糊あと)、波打ち、しわ、画面の露出による汚れ…など。

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今回の目玉の1つである「長岡の花火」も、岩井さんの手により甦りました。作品はそんなに大きくなく、1つ1つの色片も米粒よりも小さくて、これを修復するのは気の遠くなる作業だったと、容易に想像ができます。お陰でボクたちは、昔観たままの姿を、今でも観ることができます。

他にも、代表作「桜島」「パリのサクレクール寺院」「スイスの町」「スイスの風景」なども、岩井さんの手により息を吹き返した作品です。

その岩井さんの「修復家が見た天才・山下清の魅力」と題した講演会が、7月27日にあったそうです。

山下清の作品に、花火を題材にした作品が多く見られました。山下清は花火が大好きで、49歳で亡くなるときの最期の言葉が「今年の花火見物はどこに行こうかな」だったそうです。

貼り絵以外にも、ペン画、油絵、水彩画などの多数の作品や、実際放浪のときに使用していたリュックサックや浴衣、それに当時の写真などが展示されていました。

途中に、山下清の製作風景を記録した、貴重な映画が上映されています。30分と長いのですが、生い立ちからやっていて、山下清が少し分ったような気がします。実際のしゃべり方も、「裸の大将」の芦屋雁之助さんにソックリでした。

昔を思い出しつつ、新たな山下清に触れることができました。

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ただちょっと残念だったのが、小学生の頃、強烈な印象に残っていた「清の見たゆめ」という作品が無かったこと。これがあったら、完璧でした。もっとボクは楽しめたと思います。