こんにちは。
漢方薬の「人参」というと、日本では「朝鮮人参」「高麗人参」と呼ばれている朝鮮人参が一般的に知られています。
「朝鮮人参」は、温性が強いため、暑くなるこの時期に「元気をつけよう!」と思って、服用後にのぼせやほてり感の出る場合があります。
血圧が高い、のぼせやすい人は、涼性である「西洋人参」がいいかもしれません。
「西洋人参」は、別名「アメリカ人参」と言い、アメリカやカナダの森林地帯に自生しています。最近中国でも大規模に栽培されてきているようです。
「西洋人参」は「朝鮮人参」と同じウコギ科ですが、体を温めながら元気をつける朝鮮人参と違い、「西洋人参」は体を冷やしながらパワーをつけます。
体は力が満ちるのに、頭は逆に興奮状態が抑制され、仕事の集中力が持続するので、中国ではビジネスマンのほか、受験生たちがよくのんでいるんだそうです。
また、「西洋人参」は体力の低下したお年寄りや、病中・術後の回復期には、穏やかに「気」を補い、体を潤す作用があるため、適しています。
「西洋人参」は、「本草従新」という18世紀の中国の書物に、『「西洋人参」は肺気を補い、肺火を消す。津液を生じ、煩倦を取り除く。虚火に火があれば皆使える』とあります。
慢性喘息、久病(長く患った病気、慢性病)は虚火内生し、肺の経絡を傷つけ、肺の静粛性を失う…とあります。長引いたカゼなどでは、肺を犯し、カラ咳や、小痰あるいは血が混じっている、寝汗、声が小さい…などの症状になることがありますが、「西洋人参」はそんな場合にいい…ということです。
「西洋人参」は、口渇や体力の消耗している糖尿病の人や、心・肺機能の弱い人、抗ガン剤・放射線治療の副作用で体が衰弱して、免疫機能が低下している場合などにもいいようです。
実際、ウチの薬局でも、「抗ガン剤」の治療を続けられた方で、その後「間質性肺炎」が出た方が来られました。
カラ咳、熱、息苦しさがあり、病院で「キノロン系合成抗菌剤」「解熱剤」が処方され、改善しても息苦しさだけが残っている状態でした。
その方には「西洋人参」と陰を補う(体を潤す)漢方薬をのんでもらっていました。息苦しさも取れて、その後の状態もいいようです。歩くと苦しさが出ることもなくなったそうです。
「西洋人参」は作用が穏やかで、四季を通じて老若男女、誰でものめる理想的な人参かもしれません。