こんにちは。

ベストセラー「土と内臓」の著者による最新作の「土と脂」。

内臓にある味覚細胞、健康な土、身体に良い脂肪・悪い脂肪から、満腹の下に隠された栄養飢餓まで。食べものと身体の見方が変わる。

「あなたはあなたの食べたものである」

ボクは食べ物を買うときに、商品パッケージの裏を見て決めることが多いです。そこに食べ物の情報が書いてあるからです。健康のためと、添加物の多い食品はなるべく買わないようにしています。そういう方は多いのではないでしょうか。

勿論、書かれてない情報もあります。

そして食物の選択という枠組みから大概、抜け落ちているのは、ボクたちが食べる物をどのように育てるか。作物や家畜の育て方は、食べ物の選択と同じくらい重要であるかということです。ボクたちが食べた物で健康になったり不健康になったりするように、植物や動物(ウシなど)もその食べた物で健康や不健康になります。もっと突き詰めれば、土壌の健康についても考える必要があります。

「健康な土壌=健康な作物=健康な家畜=健康な人間」と繋がっているわけです。

現在、アメリカ人の10人に7人は慢性病で死亡し、半数はこうした疾患の少なくとも1つを抱えて生きているのだそうです。多くの慢性疾患や自己免疫疾患の根は炎症に由来し、食物の選択によって慢性的な炎症を促進することも緩和することもできます。これは「食養生」にも繋がるものではないでしょうか。

植物も有機農業だとミネラルやファイトケミカル(フラボノイド、カロテノイド、フェノールなど)の量が増える。土壌細菌や菌類が働きやすい環境が整っているからです。ミネラルもファイトケミカルも病気の予防効果が期待されます。ファイトケミカルは5万種類あるそうですが、漢方の有効成分も言ってみればファイトケミカルの集合体なのでしょう。

動物も食餌により脂質であるオメガ6/オメガ3のバランスが変わり、牧草飼育だとオメガ3(炎症を緩和)が増え、穀物飼育だとオメガ6(炎症を促進)する。オメガ3の摂取量が多いほど、コレステロール値、心臓病による死亡率、各種炎症性または自己免疫疾患の影響が小さいのだとか。食事で摂るオメガ6/オメガ3比を低くすることが健康上有益であるということですが、日本食はオメガ6/オメガ3のバランスにおいて評価されています。とはいえ、「心不全パンデミック」と呼ばれている昨今、食生活を含めた生活習慣の欧米化によるものなのかもしれません。

この本では、

ここ数十年、複雑な変化が同時進行で起こっているため、慢性疾患の蔓延について因果関係を確立することは困難になっています。それでも、多くの不調は、ボクたちが食べるものその栽培方法に根源を辿ることができるといいます。広い視点で見れば、単独の食物や化学物質に原因を求めることができないからです。問題はもっと大きいものであり、慣行農業(化学肥料、農薬の使用、定期的な耕起を伴う農業)が、土壌の劣化と、毒が混ざった低栄養密度の食物という収穫をもたらすことだ…と言います。

つまり「健康な土壌=健康な作物=健康な家畜=健康な人間」です。

幸い、ボクたちには選択肢があります。

なかなか見えないことも多いですが、自分の健康を考えたとき、食物が「どうやって育てられたか」ということも考える必要がある…と感じました。