こんにちは。

中医学は、「個の医療」と言われます。日本の漢方や西洋医学は、症状や病気を診て、マニュアル的にAだからBの処方というように治療する傾向があります。

それに対し中医学は、その生活習慣や生活環境まで含めた総合的な体と心の状態を診て、ひとりひとりにあわせた治療をするのが特徴です。

また、中医学には「未病先防」というコトバがあります。これは病気になる前の半健康状態の段階から、常日頃の生活習慣に注意し、病気を防ぐことが重要だという考えです。

病気を「敵」とみなし、倒す(治療する)ことに重きを置くのと違い、病気から体と心を守ることに重きを置いています。

「上亢(じょうこう):上級の医師」は未病を治す…と言われるように、良い医者ほど、病気を未然に防ぐことが考えられるんです。

「薬食同源」という考え方から食事の指導が充実している点も中医学の特徴なんです。

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中医学では、血管がもろくなり、血液が流れにくい状態を「瘀血(おけつ)」と言います。

瘀血の状態を放置すると、さまざまな生活習慣病の引き金になります。

多くの人が悩む肩こりや頭痛、冷え性、生理痛なども血液の循環が悪くなった瘀血が原因と考えられます。

病気を未然に防ぐためには、体の異常を示す大切なサインを見逃さないこと。

「痛む」「しこる」「黒ずむ」といった3大症状が、瘀血の特徴です。なので、慢性的な肩こりや生理痛などは、瘀血のサイン…なのかもしれませんよ。

そして、動脈のような太い血管だけでなく、細い血管、毛細血管も注意することが大切なんです。それは、まず太い血管よりも先に、細い血管の流れが滞るからです。

検査を受けても、目に見えない細かな血管の異常は、なかなか数値にあらわれてきません。数値にあらわれていなくても、瘀血の兆候を見逃さないようにし、生活習慣の見直しなどにつとめてください。

瘀血が起こるメカニズムには①血液を全身にめぐらす心臓の機能の低下②ストレスからくる血管の緊張③血液に老廃物が溜まる…などがあげられます。

また、不摂生な食事や運動不足、冷えやほてり、気の不足(気虚)、血の不足(血虚)など様々な原因が組み合わさっても起こるんです。

ただ、血液をサラサラな状態にすれば改善できるというわけでなないんです。

一言で瘀血と言っても、原因は人それぞれ。大きく6タイプに分けられます。

・冷えタイプ…体の冷えが原因で血液の流れが滞ってしまいます
・貧血タイプ…赤血球などの血液成分が不足することで、血行不良が起こります
・元気不足タイプ…血を巡らせるエネルギーである「気」が不足することで、血流が滞ります
・溜め込みタイプ…余分な水分や脂肪が溜まり、血管に老廃物がついて血液の流れを妨げます
・イライラタイプ…ストレスで血管が緊張し、伸縮力が弱まり、血行が悪くなります
・カサカサタイプ…水分が不足して、熱がこもり、血液がドロドロになります

複数のタイプが混ざっている場合も…。

このように、色々な面から総合的に対処することを「活血総合療法」と言います。

瘀血を改善し、全身の血管のすみずみまで循環を良くするためには、まず運動や食生活に気を付けて、ストレスを溜めないこと。それに加え、自分がどのタイプ過を知り、原因に応じた治療をすることが肝腎です。