こんにちは。
熱中症と言えば、炎天下が続く8月など真夏のイメージが強いですが、実際には6月、7月も同じくらい多いと言われています。
というのは、梅雨の時季は湿度の高い日が多く、汗をかいても体内の熱の放散が少なく、体の中に熱がこもりやすくなるからです。
熱中症を予防する目的で作られた「暑さ指数」は気温だけでなく、湿度、輻射熱3つの要素を取り入れた指数ですが、中でも湿度は7割ほどのウェートを占めると言います。炎天下ではないから水分補給を怠ることもあると思います。
また、3年にわたるコロナ禍で座っている作業が多い、外に出る機会が少ない…など筋肉量の低下は、熱中症に影響を及ぼすと考えられています。というのも、筋肉は体内の水分の4割を蓄えており、筋肉量の低下により、脱水症状になりやすくなるからです。
一方で、大量に汗をかくことは、体液だけでなく、体の気も消耗します。気を消耗し過ぎると、心臓の機能が弱まり、脈拍が弱くなり、不整脈、動悸、息切れといった症状が現れることも。また汗をかくことにより血液の粘りが増し、血栓ができやすくなるため、心臓に不安のある方は特に注意が必要です。
中医学では「汗は心の液」という言い方をします。上記の通り、汗を沢山かいて「気」を消耗し過ぎることは、「心」に負担がかかり動悸や息切れ、脈拍が弱くなったり、不整脈といった症状が現れるからです。
こんなとき、漢方薬で定番なのが「生脈散(しょうみゃくさん)」。日本では「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」という名前で販売されています。強心作用があり、肺気を補う「人参」に、「津液」を増やす「麦門冬」と、「気」や汗の漏れを防ぐ「五味子」を組み合わせたシンプルな処方ですが、「脈を生じる」とのネーミング通り、「気陰両虚」の消耗した体に、「活力と潤い」を与えてくれます。