こんにちは。山一薬局立小路店の岡村祥平です。
表があれば裏がある。昼があれば夜がある…。自然は常に2つの側面から構成されていますよね。
昔の偉い人は、このような自然現象を観察し、すべての自然が2つの側面の組み合わせからなり、その現象を「陰」と「陽」と呼びました。
ですから、「陰」と「陽」は反対の性質をもちます。
この「陰陽」の考え方は、中医学の中に深く浸透しています。
例えば、「陰」とは物質的な意味をもち、体自体やその滋養成分を意味するコトバです。一方「陽」とは機能的な意味をもち、臓器の働きや動く能力などを意味します。
体の各機能を正常に動かすために、滋養成分や各臓器がありますが、「陽」がなければ動かないんです。「陰」と「陽」は調和がとれている状態が健康であると言えます。
そのバランスが崩れても、薬などに頼らず自ら回復することが出来る…これも健康だと言えます。しかし、バランスが崩れて回復できなければ、病気の一歩手前の「未病」になり、さらに進むと「病気」になります。体(陰)から気(陽)が離れてしまうと、「死」に至ります。
「陰」と「陽」は、お互いしっかりと結ばれていないといけないんです。
このため、病気が「陰」性か「陽」性か…を知ることが大切になります。それと反対の性質をもつ食べ物を食べ、漢方薬を服用することで、そのバランスを取り戻すこと…これが中医学の基本的な考え方なんです。
あくまでも「陰と陽のバランス」が大事なんです。一方ばかり行き過ぎてしまうと、逆に体を壊してしまうことにもなりかねません。
例えば、体が冷えている人に、体を温める作用のものばかり食べ続けると、逆に熱がこもり、目の充血や喉の渇きにつながることも…。
人間の体は、自然界の現象でよく例えられます。その中で、「陰と陽」の関係は、よく「水と火」の関係で表現されます。
火(陽)が強くなり過ぎると、水(陰)が損なわれます。これは、水が蒸発してしまう恐れがあります。
一方、水(陰)が強くなり過ぎると、火(陽)が衰弱します。これは、火が消えてしまう恐れがあります。
一口に火が強いタイプといっても、火力が強い場合と、水が少ない場合とあります。一方、水が強いタイプにも、水が多いタイプと、火力が弱いタイプとあります。
つまり、「亢進なのか…」「低下なのか…」ということなんです。
「そのどちらなのか」を見極めながら、漢方薬を選ばないといけません。
つねに、火加減・水加減を確認することが大切なんです。
漠然とした考え方のようですが、「陰陽の考え方」は、中医学の「肝」だと思っています。