こんにちは。

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人類が2本足で立って歩くようになったのは、約400万年前のこと。腰が上半身の重みを支える役割をになった時から、「腰痛」は人間の宿命になったと言われています。

上半身の重さは全体の60~70%にあたり、さらに、腰は曲げ伸ばしたりすることで、上半身の自由な動きを助けているわけなので、大きな負担がかかるのは当然なんです。

人類は進歩し、社会環境は変わりましたが、未だにその宿命から逃れる術もなく、多くの人達を苦しめ続けています。

現在、腰痛に苦しむ人は1000万人を超えるとされ、その原因も、体の構造上問題に加え、骨の異常や内臓疾患、高齢化による骨・筋肉の衰え、運動不足、過激な運動、肥満などで様々です。

最近では、精神的なストレスによって引き起こされる腰痛も増えていると言われ、原因の解明や対応をなおいっそう複雑にしているようです。

中医学の考え方で、「腰は腎の府」という言葉があります。

中医学では、体を5つの臓器(肝・心・脾・肺・腎)に結び付けて考えます。腰はこれらすべての臓器と関わっているとされ、特に密接な関係にあるのが「腎」です。

中医学でいう「腎」は、現代医学の腎臓の働きの他に、生殖・成長・発育・老化に関わり、骨や筋肉、ホルモン代謝をつかさどる重要な臓器。老化や疲労などによって、腎の働きが低下した状態を「腎虚(じんきょ)」と言います。

「腰は腎の府」というのは、腰が腎を守る器の役割を果たしている…ということを表しています。また、腎は骨と深く関わっている臓器であるため、腎の働きが悪くなると、腰痛や腰がだるくなるなどの症状が現われます。

腰や関節などの痛みやしびれを中医学では「痺証(ひしょう)」と言い、この「痺」という字はしびれるという意味の他に「つまる、滞る」という意味があります。つまり、「痺証」とは気血の流れが滞ったために現われる症状と言えます。

その原因は、寒さや湿気など気候の変化による外的なものと、組織や細胞に栄養を運ぶ気血の不足や腎虚などによる内的なものの2つのタイプに分類され、この2つが複雑に絡み合って痛みが発生すると考えられています。

外的原因である風・寒・湿の三邪に対しては、これを取り去り水分の代謝を活発にする漢方薬、内的原因については、肝腎を強化したり、気血を補う漢方薬を…。