こんにちは。

今日、中医師の仝(トン)先生がウチの薬局に来られました。

仝先生は「中医五官病(ごかんびょう)専門講座」を担当される先生。 「五官」というのは人間のもつ5つの感覚用器官のことで、目、耳、鼻、口、咽喉のことで、中国ではそれをまとめた「五官科」というのがあるそうです。

これまで何度かウチの薬局を訪店され、仝先生から「五官病」 を中心とした貴重なアドバイスをいただいていますが、今回は「耳管の病気」 を中心にアドバイスをいただきました。

耳の奥は、「耳管」と呼ばれる細い管で鼻の奥につながっています。普段はキュッと締まっていますが、唾を飲み込んだときなどに開いて、耳の中の圧力を調整したり、溜まった老廃物を鼻へと排出したりします。

飛行機に乗ったり、新幹線でトンネルに入ったりすると、耳が詰まったりすることはありませんか?これは耳の内外に気圧差が生じ鼓膜が押されるから。その場合、あくびをしたり、唾を飲み込んだり、耳抜きをすると、「耳管」が開いて空気が入り、気圧差が解消されます。

ところが、この「耳管」が開きっぱなしになったり、閉じたまま開かなくなると、耳が詰まったような不快感に悩まされます。「耳管」が開きっぱなしの「耳管開放症」、閉じたまま開かなくなる「耳管狭窄症」について、中医学的な捉え方を教えていただきました。

耳管開放症(耳管が開きっぱなし)

耳管開放症になると、開いたままの「耳管」を通して呼吸のたびに空気が出入りし、鼓膜の内側が陰圧、陽圧を繰り返して耳詰まりを感じたり、自分の声が大きく響いたり、呼吸音が響いたりします。

耳管開放症の人は、軽度を含めると国内で約5%。原因はハッキリしないことも多いそうですが、急激な体重減少や脱水、低血圧、加齢、ストレスなどが要因とされています。また、思い月経痛などで服用するピルや妊娠が影響することもあるのだとか。

中医学的には「気虚」が考えられます。疲労から自律神経が乱れたり、「耳管」を締める力が弱まるからです。その場合、「静かに補う」ことがポイントとなり、「活血」「理気」など動かすことは避けるべきです。

耳管狭窄症(耳管が 閉じたまま開かない)

耳管狭窄症の場合も、耳の詰まりや耳の奥の痛みといった症状があらわれ、中耳炎になる人も。

カゼの後の炎症、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎など、別の病気による炎症が鼻の奥から耳の方へと広がり、「耳管」が腫れて起きることが多いそうです。

これは、粘膜の炎症、粘着性のものが溜まっている…とう状態と考え、中医学では「通絡」「清熱」がポイントになります。

同じような耳が詰まった症状でも、「耳管開放症」と「耳管狭窄症」では原因が違う…。これらの考え方をもとに、処方の組み立てなどのヒントをいただきました。

仝先生、ありがとうございました。