こんにちは。

「痒み」を感知する部位は、自由神経終末と呼ばれていて、皮膚の表皮と真皮の境界部分に集まっています。

「痛み」もこの自由神経終末で感知され、皮膚→神経末端部→末梢神経→脊髄でも、「痒み」と「痛み」は同じ経路を通るので、「痒みは痛みの軽いもの」と言われてきましたが、最近の研究では「痒み」独自の経路があることが分かってきたのだとか。

「痒み」と「痛み」は同じ経路を通るということですが、その皮膚感覚を伝える神経線維は、伝達速度の速い順にA、B、Cの3種類に分けられますが、「痒み」の信号はC線維を通るため、ゆっくりと脳に届きます。C線維を通るのは、ジワーっとした痛みや、焼けつくような痛み、内臓の痛みなどだそうです。

「痒み」はドライスキン状態では、皮膚が必要以上に敏感になってしまうことが分かっていますが、それは「痒み」と「神経」の関係にあります。

皮膚には、神経を伸ばす「神経伸長因子」と、その逆の作用を持つ「神経反発因子」があります。通常は両者のバランスが保たれているため、健康な皮膚では、神経線維の自由神経終末は、表皮と真皮の境界に分布しています。

ところが、皮膚が乾燥すると、「神経伸長因子」の力が強くなり、神経が伸びるため、その先端にある自由神経終末が表皮内に侵入し、表皮の中で最も皮膚表面に近い角質層の真下にまで伸びるのだとか…。そのため、外部の刺激が伝わりやすくなり、知覚過敏の状態に。「痒み」を感じやすくなるわけです。

そんな「痒み」は、掻いて快感を覚えるだけならいいのですが、この快感を一度覚える(脳が記憶する)と、ボクたちは掻くことを止められなくなります。例え、掻きすぎて皮膚が破れてしまうことになっても…。ギャンブルやお酒、タバコといった嗜好品の依存に似た状態になるのだとか。アトピー性皮膚炎の人では、この傾向が強いのだとか。

痒み→掻く→表皮細胞が傷つく→炎症が起きる→皮膚炎が悪化→痒み…この悪循環は「イッチ・スクラッチ・サイクル」と称されます。「イッチ=痒み」「スクラッチ=掻く」という意味です。

「角質細胞」や「皮脂膜」や「細胞間脂質」、そして「天然保湿因子(NMF)」が減ると、角質細胞の集団が崩れて水分が減り、干からびた田んぼのようになります。そのため、ドライスキンでは、角質層に隙間ができやすくなり、外から異物が侵入しやすくなります。これが刺激となって「痒み」が生じる。なのでスキンケアは有効な手段です。

それ以外にも、様々な原因で「痒み」が起こります。それを強く掻くと皮膚が傷つき、皮膚の中にサイトカインという物質が放出されます。このサイトカインは皮膚の中の「肥満細胞」を刺激、ヒスタミンというホルモンを放出します。このヒスタミンは非常に強い「痒み」を誘発、また傷ついた皮膚には炎症が起こり、それも「痒み」の原因に。その繰り返しで、この悪循環が止まらなくなるわけです。

それでも、この「イッチ・スクラッチ・サイクル」を知ることはとても需要。これが病的な悪循環だと知っていれば、自制心も働き、我慢することができるから。

「痒み」を起こしているのは「炎症性の疾患」が多いです。炎症を抑えることが改善につながると考えます。よく「痒み」は火災報知器に例えられます。「うるさいから…」と消しても、また鳴り出しますが、それはそこに「火事」があるからです。

「痒み」を直接起こしている原因物質(メディエーター)の代表的なものが「ヒスタミン」。皮膚疾患で「ヒスタミン」の関与が最も強いのは「蕁麻疹」。ですが、その他の多くの皮膚の演奏性疾患は「ヒスタミン」の関与もあるけれど、それが主原因ではないので、湿疹、かぶれ、アトピー性皮膚炎、虫刺されなどの治療では、「抗ヒスタミン剤」だけで「痒み」が全くなくなることはないわけです。効かない…というわけではないですが、十分ではない。「ヒスタミン」以外の複数のメディエーターが関与している場合、1つの物質をターゲットにした痒み止めだけでは不十分となるわけです。まずは、炎症を止めることが優先だと考えます。

ウチでは、中医学を中心にした中医皮膚病の考えを用い、中成薬(中国漢方)で対応しますが、実際に有効です。

中医皮膚病の考え方とは、ステロイド剤や抗アレルギー剤などの症状を抑える西洋医学的なものではなく、違った角度から皮膚の症状をとらえ、対症療法、原因療法をメインで考えます。だから、原因となる食事や睡眠などの生活改善もとっても大切!逆にこれが改善の大きな壁になることがあります。

急性的な皮膚病の場合は、西洋学的な治療は早いし、効果がありますが、ずっと長年続く慢性的な皮膚病の場合、中医学の漢方治療は有効です。ただし、長年かかった皮膚病は改善に時間と根気がいります。症状に波があったり、何かのキッカケで悪化したり…。ただ、漢方薬でその大きな波を少しずつ小さくしていき、最終的に美肌を取り戻すようお手伝いをすることが目的です。

中医皮膚病の基本は、漢方の内服、外用(スキンケア)、そして食養生です。中でも、食養生は大切です。皮膚病の方に、食生活がメチャクチャという方も珍しくありません。睡眠も薬と同じです。