こんにちは。
食べると皮膚病の症状を発生、または悪化させるものとして、中国では皮膚病の禁忌となっている食物のことを「発物(はつぶつ)」と言います。
特に皮膚トラブルがあるときは避ける方がいいものだと言えます。
「中医皮膚病」でまとめられた資料を参照に代表的なものを挙げてみると、
動物性タンパク質…魚介類🐟、牛肉🐂、羊肉🐑、アヒル、鴨肉、牛乳🥛、卵🥚など
野菜・穀物類…ネギ、タマネギ、唐辛子🌶、コショウ、セロリ、大豆、そら豆などの一部の豆類、ソバ、小麦など
果物…バナナ🍌、パイナップル🍍、マンゴー、柑橘類🍊、銀杏、パパイヤなど
加えてその中には、化学添加物を「発物」として考える…とあります。
よく食物アレルギーとして卵、牛乳、大豆、米、小麦を「5大アレルゲン」、中でも特に多い卵、牛乳、大豆を「3大アレルゲン」と表現されますが、その中にも「発物」の食物はしっかりと入っています。
一方で、「まごわやさしい」食事…「ま=豆」「ご=ゴマ」「わ=わかめ」「や=野菜」「さ=魚」「し=しいたけ」「い=いも」を取り入れた食事が理想的だとされていますが、健康的なイメージがあり、日本の食卓に欠かせない大豆、魚が「発物」として挙げられているのに違和感を感じます。
タンパク質やマグネシウムなどが豊富な「大豆」…。大豆の最もアレルゲン性が強いのは大豆の油に含まれるタンパク質だそうです。つまり、ひと口に大豆と言っても「比較的軽い」「中くらい」「強い」の3段階で考えると良さそうです。
「比較的軽い」ものとしては、きな粉、豆腐、豆乳、みそ、しょう油など、「中くらい」のものとしては、納豆、あんこなど、「強い」ものとしては大豆油、油揚げなどの製品、菓子類などです。
同じくタンパク質、EPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸などが豊富な「魚」ですが、これも鮮度だったり調理法で違ってくると思われます。
青魚のサバなどはアレルギーを起こすことが知られていますが、それは魚の身に含まれる「ヒスチジン」というアミノ酸が、付着した「ヒスタミン生成菌」によって分解されて「ヒスタミン」となるからだそうです…。「ヒスタミン」が多量に蓄積された魚を食べることで、アレルギーを発症するというわけです。これは漁獲から消費までの過程における不適切な取り扱いによって増える可能性もあります。加熱すると「ヒスタミン生成菌」は死ぬのですが「ヒスタミン」は残るので、新鮮なものを加熱調理するといいようです。
中医皮膚病研修の際、雲南中医医院では「魚の中で食べていいのは木魚だけ」という風に言われていると聞きました。「木魚」とは木でできたポンポン叩くアレのことで、もちろん魚🐟ではありません…。理由を尋ねると、「異種タンパクだから」「生臭い物(湿熱を産む)だから」という回答でした。
中医学は経験に基づいたもの…。
なので、健康な人にはいいけれど、皮膚トラブルがあるときに「発物」の食物は「火に油を注ぐ🔥」ことになりかねないので、そのときはストップした方がいいわけです。
だからといって、「発物」の食物を全く食べてはいけない…というわけでもありません。
アトピー性皮膚炎ならば、「赤い」「腫れる」「痒い or 痛い」「プツプツ」「ジュクジュク」とハッキリとした症状の出ている「アトピー性皮膚炎の急性期」には、食べない方がいいと思います。
赤みが落ち着いて、痒みがあまりなくなって、プツプツはしばらく出ていない…こんな段階になったら、少しずつ食べてみて、痒くなったら「まだ早い」と判断します。
「発物」のものはなるべく避けた方がいいけれど、状態を把握しながら、上手に判断して加減を覚えることが大切かもしれません。