こんにちは。
大阪のリーガロイヤルホテルにて「日本中医薬研究会30周年記念大会」が開催されました。
この30周年記念大会のテーマは 「継往開来」~種を蒔き木は育った。さぁ花を咲かせよう!~ というもの。
13時からのスタートだったのですが、始めにこの30年で「日本中医薬研究会」に多大なる貢献をされた先生方の表彰がありました。
ボクたちは今日、中医学の恩恵を当たり前のように受けている…かもしれませんが、ここに至るまで、ボクたちの先達が道をつくって下さったお陰なのですから、感謝をしなければいけません…。
今回の30周年記念大会は、2つの記念講演が予定されています。
記念講演Ⅰは、世界中医薬学会連合会 創会副主席・事務局長 李振吉教授による「世界における中医薬の普及・発展の現状と未来について」と題したお話でした。
「世界における伝統医学の概況」「中医薬発展の現状と特徴」「世界における中医薬の普及と発展の問題点」「世界における中医薬発展の未来と展望」「中医薬の国際交流の構図」についてお話されました。
中医薬学は、自然科学であり、社会科学であり、哲学的な科学であるため、「エビデンスが欠けている?」と評価されていることも多いです。現代医学の考えでは中医薬と整合できず、中医薬の導入が難航し、多くの国で壁も多いようです。
そのため「中医薬の国際標準の制定」を行うことで、普及に努めることとしているようです。
また、健康概念と医学認識の進歩により、「治未病」という予防医学が重要視されているのと、欧米高福祉国家では、日本と同様、医療費が大きな負担になっていることから、中医薬の利用で医療費を削減しよう…という動きが出ているようですし、「人口老齢化問題」や、難治疾患、医(薬)源性疾患、化学合成薬の毒副作用、現代医学の局限性などから、中医薬の需要は広がってきているようです。
中医薬の国際普及は長期的な戦略によるものであり、「強い信念、奮闘精神」と「数世代の地道で確実な準備」によるものだとのこと。
「中医薬学は常に発展し、時代とともに進歩する科学」であり「中医薬は全世界の宝物!」。
中医薬の国際交流、学術交流、情報交換を通して、人類の健康事業に貢献しましょう…という李先生からのメッセージをいただきました。
記念講演Ⅱは、中国中医科学院広安門病院客員教授 路京華先生による「中医臨床40年から皆様に伝えるもの 中医学は人類の宝物」と題したお話でした。
路先生は、「日本中医薬研究会」の発足からお世話になっている先生で、どのように中医学を教えていったらいいのか…試行錯誤をしながら行って来られてことを、30年を振り返りながらお話されました。
今では、ボクたちの中にも中医学を教える立場の先生や、内部講師で活躍される先生もいらっしゃり、日本中医薬研究会の会員の中医学に対するレベルも上がっています。これは単に、先達の先生方の途方もない努力によるものだと思います。
先生は最後にボクたちにメッセージを伝えられました。
「水を飲むときは、井戸を掘った人を忘るべからず」「謙虚であれば益を受ける、自惚れれば損を招く」「西洋医学は頭で学ぶこと、中医学は心で悟ること」「治療に法則があるが、実は法則はない、法則がないからこそ治療の大法である。弁証論治に縛られないように」…という金言をいただきました。
ボクたちが今あるのは、先達が築いた上にいるわけで、その感謝を忘れてはいけない…。そして、中医学を学んでから後、「これが治療法だから」…と決めつけず、自由自在に考えていってほしい。そして、中医学の高みを目指してほしい…というものですが、この言葉を胸にこれから精進していこうと思います。
最後に「中医薬研究会の旗を挙げて30年、次々と次の世代に渡し続けてください」という役目もいただきました。
会がこの先30年続くことができるように、「先達が種を蒔き育ててくれた木を、花を咲かせ、実ができるようにする…」と大きな使命ではありますが、気負わずに頑張って行こうとと思いました。
李先生、路先生、ありがとうございました。