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スギ花粉が飛散する時期は、エリアによって多少異なるようですが、大体2月に入ってからゴールデンウィーク頃までと言われています。

およそ10年に1度実施されている全国調査によると、1998年のスギ花粉症の有病率が約16%だったのに対し、2008年に行われた同様の調査では約27%…。10年で著しく増加していることが報告されています。

戦後にスギの植林が進んだことが原因であると言われていますが、ここ数年の増加傾向は、夏の気温が高くなっていることとも関係があるとの指摘があります。スギ花粉をつくる雄花が育つのは「夏」であり、この時期に気温が高く、日射量が多いと雄花の生産量が増えてしまうからです。

花粉症を発症する人は年々増加していることが分かりますが、低年齢化が進んでいるのが目立ちます。それには、過度に清潔な環境での生活や、不規則な生活習慣、食事などが、免疫機能に悪影響を及ぼし、子どもがアレルギーを起こしやすい体になっている…と考えられています。

そもそもボクたちの体内には、外部から侵入する細菌やウイルスに対して、白血球やリンパ球が異物として認識して撃退する「免疫システム」が備わっています。この「免疫システム」がバランスを崩し、外敵(スギ花粉などの抗原)に過剰反応を起こすと、不必要な化学物質が体内でつくられて粘膜の炎症や毛細血管の膨張を引き起こし、その結果、花粉症の症状があらわれます。

この「免疫システム」…「粘膜保護作用のあるIgA(免疫グロブリンA)」と「アレルギーと関係するIgE(免疫グロブリンE)」という免疫タンパク質の関係性が関与していると言われます。

正常なときには、IgAは粘膜(胃腸と気道など)の表面を覆っていて、外来の異物(抗原)が粘膜に触れないようにする保護膜としての働きをしています。さらに殺菌、抗ウイルスなどの働きも…。

そのIgAが足りないと、抗原は粘膜に付着し、アレルギーが発生しIgEを異常に上昇させます。そうすると、立て続けに出るクシャミ、水のような鼻水、または鼻づまり、目・のど・鼻の粘膜・顔や皮膚の痒み、集中力の低下、熱っぽい、体がだるい…といった症状があらわれると考えられています。またIgAの不足は、気道と胃腸への感染の増加、インフルエンザウイルスに対しての抵抗力が弱くなると言われています。

つまり、ボクたちの健康状態は、主に粘膜に存在しているIgAの量に大いに左右されるわけです。

粘膜と抗原の間にIgAが「屏風」として立ちはだかり、丈夫な粘膜が保たれている…ということでしょう。バリアのような働きのIgAが不足すると、抗原はやすやすと粘膜から体内に入り込んでくる…。

そんな「屏風」であるIgAの働きを考えると、中医学で考える「衛気(えき)」の働きに似ています。「衛気」とは主に皮膚や粘膜に存在する「気」。

不規則な生活や食生活の乱れ、運動不足、生活環境などにより、現代人は「衛気」が不足している「衛気虚(えききょ)」が多いと言われています。「衛気虚」でバリアが弱っていると、皮膚や粘膜から外的刺激が体内に侵入する…。漢方薬で「衛気」のチカラを高めてあげることで、予防と改善につながると考えます。