こんにちは。
広島では、今年で68回目の「原爆の日」を迎えました。
原爆慰霊碑を中心にして、平和記念式典が行われますよね。
先日、2005年に放送された日曜美術館「イサム・ノグチ 幻の原爆慰霊碑」の再放送を観ました。
現在の原爆慰霊碑は、日本を代表する建築家の「丹下健三」が設計し、碑の前に立つと向こうに原爆ドームが見えるデザインです。
これとはほかに設計案があったのが、世界的な彫刻家「イサム・ノグチ(1904ー1988)」がデザインしていたものだそうです。日本人の父とアメリカ人の母を持つノグチは、アメリカで生まれ育ちました。世界大戦中は「アメリカに住む日系人」として強制収容所に入っていた経験もあり、両方の国に溶け込めないと思ったそうです。
そんな彼に依頼したのが平和記念公園の設計をした友人の丹下でした。ノグチはそれに奮い立ちます。原爆を投下した国と投下された国の父母を持つからこそ、慰霊碑を手掛けたいと、ノグチは無償で引き受けたそうです。
しかし、「広島平和記念都市建設専門委員会」から、原爆を落とした国の人間に作ってもらう必要はない、という意見が出たことで、ノグチの慰霊碑は「不採用」となったんです。ノグチはこの「決定」に、深い傷を負ったそうです。
結局、やり直しを丹下が担当し、採用されたのが現在の原爆慰霊碑です。
ノグチが思い描いた慰霊碑は、逆U字のアーチを描く柱が地下空間まで貫く構造でした。「産道を通って胎内に戻るようなイメージ」だったそうです。製作の過程での模型は残っています。
実現せず、幻になってしまって残念です。