こんにちは。
中医学では、季節や天候がボクたちの体の生理機能に及ぼす影響を重視しています。
そのため、薬を選ぶ際にも、気候と臓腑の関係を考える必要があります。
「夏季遠熱、冬季遠寒」という言い方があるように、夏はなるべく「熱性の薬」を避け、冬は「寒性の薬」は慎重に…というのが原則となっています。
漢方薬は、薬性と薬味によって作用や適応症が違います。
薬性は「寒性・涼性・平性・温性・熱性」に大別でき、温熱薬は寒証に、寒涼薬は熱証にそれぞれ用い、平性のものはどちらにも使えます…。
気温が高く、陽気の盛んな夏場は、内臓の機能も活発で、口渇、手足のほてり、のぼせ、便秘、口内炎、尿の色が濃くなる…といった「熱症状」が出やすくなります。このため、この時季に温熱性の薬を大量に服用すると、内臓の熱が過剰になり、熱症状がひどくなったり、鼻血が出たりすることがあります…。
また、薬味には「酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(塩味)」の5種類があり、このため辛味で温熱性の薬は、特に体内の水分を消耗しやすいため、夏場の服用は特に慎重になる必要があります。
代表的な生薬には附子(ぶし)、肉桂(にっけい)、乾姜(かんきょう)、細辛(さいしん)、麻黄(まおう)など、処方ではカゼ薬の葛根湯、麻黄湯、麻黄附子細辛湯などです。夏に使用する場合は、減量するなどの配慮が必要であると思います。
また滋養強剤でも、朝鮮人参や鹿茸(ろくじょう)などの温性のものは、同じ意味で夏場は慎重に用いるべきだと思います。
人参は温めるものが多いですが、人参は人参でも西洋人参は薬性が涼性の人参…。そのため、西洋人参はのぼせることないので、夏場元気をつけたい人にはピッタリです。
薬を選ぶ際には、気候と臓腑の関係を考える必要があります。