こんにちは。
日本中医薬研究会の第19回学術シンポジウムが銀座フェニックスプラザで開催されました。
テーマは「心と血脈」で、「冠心病の舌診と臨床」についての講演会です。ボクたち山口中医薬研究会は、東京からの中継を別会場…東横イン徳山駅新幹線口で聴講しました。
今回の学術シンポジウムの講演は、高橋楊子先生による「舌診を極めよう!冠心病を中心に」と、郭維琴教授による「丹参・川芎の臨床応用」のは2本立てでした。
第1部の「舌診を極めよう!冠心病を中心に」…です。
「冠心病」とは、冠状動脈硬化による虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞など)を指しますが、中医学では狭心症・心筋梗塞の病理機序を「血液瘀阻(けつえきおそ)」と見なしています。
心は「血脈を主る」「舌に開竅する」「舌は心の苗」と言われているように、心および全身の血液状態はよく舌にあらわれます。
舌は中医学では「露出の内臓」「内臓の鏡」「健康のバロメーター」と称されており、「舌診」は「病邪の性質」「部位深浅」「症状の進退」及び「人体の正気の状態」を把握する特殊な診察法であり、欠かせない手段です。
観察のポイントとなるのは、「舌の色(舌色)」「舌の形(舌形)」、そして「表面の苔(舌苔)」ですが、正常の人の舌は、淡紅舌(たんこうぜつ)、薄白苔(はくはくたい)…。ピンク色の舌色で、うっすらと苔がある状態です。
「血液瘀阻」あるいは「瘀血(おけつ)」のある人の舌の特徴は、「舌色が紫、あるいは暗」「瘀点・瘀斑(おはん)の存在」「舌下静脈蛇行・怒張・結節」が見られます。色が暗く、斑点があり、舌を裏返すと静脈が浮いている…。2つあるいは3つ項目が存在すれば、「瘀血」が思いと判断します…。
「瘀血」になる原因は様々で、「元気不足の気虚(ききょ)タイプ」「血液不足の血虚(けっきょ)タイプ」「冷え・寒がりの陽虚(ようきょ)タイプ」「体液不足の陰虚(いんきょ)タイプ」「イライラの気滞(きたい)タイプ」「ヘドロがたまった痰湿(たんしつ)タイプ」があげられます。原因が違うと、それぞれタイプに合わせて対応が変わります…。
今回、高橋先生の実際の症例を、舌の写真と合わせて紹介されました。改善するに従って、舌の状態が変わっていくのがハッキリと分かります。
現在、心疾患は日本の三大死因の1つとなっているので、「舌診」で異常なサインを発見できれば、早めの対応ができる…ということです。
高橋先生、ありがとうございました。