こんにちは。

中医学と西洋医学の診断方法の異なるところは、簡単に言えば「観察視点」の違いだと思います。

というのは、中医学では、まず皮膚の状態だけでなく、内臓機能も詳しくチェックします。女性の場合であれば、生理の状態も大切な情報です。これは皮膚病に関しても同じことです。

西洋医学では、アトピー性皮膚炎の湿疹反応は、赤くてもジュクジュクでも「湿疹」の一言でくくってしまいがちです。そして処方としては、おうおうにしてステロイド外用剤の一本槍になることが少なくないようです。炎症の程度や場所、年齢で、ステロイド外用剤を使い分けてはいますが…。

一方中医学では、アトピー性皮膚炎の状態は刻一刻と変化するものと捉えているので、今の皮膚の状態が、病気の発展過程の中のどの段階であるのかを正確に把握するようにしていきます。

皮膚に赤みがあれば、体内に「熱(炎症)」がこもっていると判断します。この赤みにも程度があり、ピンク色ならば皮膚表面だけに「熱」があり、真っ赤であれば「熱」は深く体に入り込んでいる…と考えることができます。もちろん、その対応も違ったものになるわけです。

赤くジュクジュクがある場合、「熱」に加え「湿(不要な水分)」を持っていると判断します。腫れて浮腫んだ状態の場合も「湿」が絡んでいることがありますし、一見するとカサカサしている場合でも、引っ掻くと汁が出る場合は「湿」が溜まっていると判断します。

カサカサになっているとき、「血虚(血の不足)」の状態で、血の不足、機能低下からくる潤い不足と判断できます。

ゾウの肌のようにゴワゴワになっているときは「瘀血」の状態で、血液の滞りがどこかにあり、末端の血液の流れが悪くなっていると考えられます。

このような皮膚状態に加え、「食欲はあるのかないのか」「便の状態はどうか」「疲れやすいか」「カゼを引きやすいか」…など、全体を確認することが重要であると考えます。

中医学の診断法は多岐にわたり、皮膚の状態、全体的な状態の把握してこそ、正しい治療のスタートができると考えます。