こんにちは。

「汗をかくのは悪いことではない」。

アトピー性皮膚炎の方に対し、汗は痒みを増強したり皮疹を悪化させるため、増悪因子とされてきましたが、最近の研究では「汗をかかないようにしている人」よりも「汗をかくようにしている人」の方が症状が改善した…という報告あります。

汗には皮膚を潤し、バリア機能を高めるはたらきがあります。バリア機能に関係する皮脂膜は、汗と皮脂とが混じり合うことで形成されているからです。

また、アトピー性皮膚炎の方は、一般的にこの発汗機能が弱まっている…と言われています。「汗をかけるようになる」ということは、「皮膚の機能が戻った」ということを意味しているからです。

もともとボクたちの体は汗をかくことで体温調節をします。汗を出し、皮膚の上で蒸発させることで体温を調節し、外気の熱から体を守っています。上手く汗をかけないと体温が上昇し、痒みがさらに強くなってしまいます。

ですから、「汗をかくのは悪いことではない」ということが言えます。

ただし、汗をかいたらこまめにシャワーなどで洗い流すか、濡れたタオルなどで拭き取ってあげることが大切です。汗が長時間皮膚に残っていると、皮膚を刺激し症状を悪化させるからです。

①汗そのものが、傷つき荒れた皮膚を刺激する。②汗の成分に対しアレルギー反応を起こす。③さまざまな空気中のアレルゲン(ハウスダスト、ダニ、カビなど)が汗に溶けて皮膚に付着し、吸収されアレルギー反応を生じる。④化粧品や外用剤などが汗と反応してアレルギーや刺激を生じる。…などが考えられます。

なので、スキンケアの基本は「洗う」と「保湿」だと考えます。

「洗う」ときに大切なのは「優しく洗うこと」です。皮膚バリアを構成する重要な層の厚さはわずか0.02mm…。サランラップ2枚分の薄さだと言われています。強くこすらず、泡立てた泡で優しくなでるように「洗う」ことがポイントです。ボクたちの皮膚は、汗やホコリ、カビ、細菌、アレルゲンなどが皮脂に混じっています。お湯だけで洗うよりも、刺激の少ない石けんで洗ってあげるといいと思います。

そして「保湿」も大切です。入浴直後の皮膚は潤っていますが、その後水分は急速に失われていくため、タオルで拭き取ったらなるべく早いうちに「保湿」をしてあげることが大切であると考えます。

汗をかきやすい今からの季節は、こまめに「洗う」と「保湿」がポイントだと思います。