こんにちは。

排便を起こす大腸の蠕動運動は、自律神経によってコントロールされています。

自律神経には交感神経と副交感神経があり、基本的には「交感神経は活動を促進する」ようにはたらき、「副交感神経は活動を休ませる」ようにはたらきます。

大腸は、この副交感神経が優位になっている…ときに活発にはたらきます。

つまりは「リラックスしてる」ときほど大腸は活発になり、仕事中や体が運動状態のときは交感神経が活発になっているので、通常は排便が起こりにくくなるのです。

しかし、ストレスの影響で自律神経のはたらきに乱れが生じると、仕事中や運動中でも大腸の蠕動運動が盛んになり過ぎることがことがあります。

すると、便が直腸へ運ばれるまでの間に水分が十分に吸収されず、水様便や泥状便…といった下痢を急激に引き起こすことになります。

一方で、ストレスによって大腸の蠕動運動が減少し、腸の中で便の吸収速度が遅くなると、必要以上に水分が吸収されて便秘になる場合もあります。

また、腸は「第2の脳」と言われるほど神経細胞の多い臓器であると言われています。これらの神経細胞は脳と関連しているため、脳がストレスを感じると、直接その刺激を感じ取る…ということです。

結果として、下痢や便秘、腹痛を引き起こす…ということになります。

中医学では、「肝」と「脾」のバランスが崩れた状態…と考えます。「肝」は疏泄(そせつ)を主り、「脾」の運化を助けます。「疏泄」とは、「気」をスムーズにはたらかせること…。ストレスがたまると、この「肝」の疏泄作用が悪くなり、「気」が滞り、他の臓器にも異常が及ぶことがあります。

なかでも、胃腸に影響を与えることが多く、気の巡りが悪くなると、胃炎や胃・十二指腸潰瘍などが生じやすくなります。下痢や便秘がなかなか治らず、食欲不振、胃のもたれ、おなかの張り、腹痛、吐き気を伴うケースもあります。下痢や便秘の薬を使っても、なかなかよくならない胃腸病には、このような背景が多いのです。

そして、ストレスが長期間に及ぶと、体は徐々に虚弱になっていきます。

このような場合には、症状を引き起こした根本的な原因となる「気」の滞りを改善する「理気薬(りきやく)」や「疏肝薬(そかんやく)」と呼ばれる漢方薬で、「気」の流れをスムーズにすることが必要です。