こんにちは。
中医学では、体内の生理機能を大きく5つの系統に分け、「肝」「心」「脾」「肺」「腎」と名付けました。その中で、特に重要と考えているのが「腎」です。
中医学で考える「腎」は、生命力の源であり、様々なはたらきがあり、「腎」のはたらきをあらわす言葉がいくつかありますので紹介します。
①腎は成長発育を主る。
幼いころの発育の状態は「腎」の強弱と密接な関係があります。
身体的あるいは知能的な発育不良、成長痛…などと関係。
②腎は骨を主る。歯は骨の余り。
いくらカルシウムを摂っても、「腎」が弱いと強い骨を作ることはできません。
骨格が華奢(きゃしゃ)、よく骨折する、骨粗鬆症、歯がグラつく、虫歯になりやすい…などと関係。
③腎は髄(ずい)を生じる。脳は髄の海。
髄は骨の中に詰まっており、骨髄、脊髄、脳髄などがあります。
貧血などの血液疾患、神経痛、忘れっぽい、認知症…などと関係。
④腎の華(はな)は髪。
髪の状態は「腎」のはたらきが旺盛かどうかのバロメーターです。
白髪、脱毛、切れ毛…などと関係。
⑤腎は耳に開竅(かいきょう)する。
過労や老化による聴力の低下は、「腎」の機能の低下をあらわしています。
耳鳴り、難聴…などと関係。
⑥腰は腎の府。
「府」には所在地…という意味があります。腎臓は腰にあり、「腎」の機能が低下すると、足腰も弱くなりがちです。
腰痛、足腰が重い、足腰がだるい、足腰が冷える…などと関係。
⑦腎は水を主る。
「腎」は体内の水分代謝を主る作用があります。
排尿困難、頻尿、多尿、夜間尿、むくみ…などと関係。
⑧腎は封蔵(ふうぞう)を主る。
「腎」のはたらきが低下すると、体に大切な「気」「血」「精」が漏れ出します。
息切れ、汗をかきやすい、早漏、不正出血、習慣性流産…などと関係。
現代医学では、腎臓は尿を作ったり、体内の環境を一定のバランスに調節するところとしています。⑦が主なはたらきと考えます。
一方、中医学では「腎」は排尿をコントロールするだけでなく、生命力を主る「精」を貯蔵し、また生長、発育、生殖もコントロールするものとされています。つまり、現代医学で言うところの免疫やホルモンの調整まで含まれる…ということです。
漢方薬には「腎」のはたらきを助ける「補腎薬(ほじんやく)」があり、「腎」が衰えて出くる症状の根本的な体質の改善となると考えます。