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中医学の中では、「気」「血」「津液(水)」は健康を支える3本柱と考えます。この3つが充実してスムーズにめぐれば、人は健康状態を保てますが、不足したり、めぐりが滞ったりすれば、人は健康の枠から外れていきます。

その中で、「血」が不足している状態を中医学で「血虚」と言います。

中医学の「血虚」は、西洋医学でいう赤血球の減少などの「貧血」よりも広い意味合いがあるんです。例えば、血液検査で貧血と診断されなくても、血球細胞の形や働きが悪くて異常な症状を起こした場合も「血虚」とみなします。つまり、貧血一歩手前の状態も含めて広い意味での血の不足を意味します。

「血」は体の栄養であり潤すものなので、「血虚」になると、顔色が白く艶がなく、めまいや立ちくらみ、手足のしびれ、肌がカサカサして痒くなり、白髪や抜け毛が生じ、女性では生理不順や不妊症などの婦人病を起こしやすくなります。その他、目の疲れや視力の衰え、動悸、息切れ、不整脈なども表れやすくなります。

ここに挙げた症状が見られない人でも、敏感に出る…隠れた「血虚」の症状があります。「記憶力の低下」「睡眠の質が悪い」「夢を多く見る」「眠りが浅い」などが、あらわれやすくなります。

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中医学では、「肝」は「血」を蔵し、「血」には「魂」が宿る…という考えがあります。眠っているとき、「肝血」がいっぱいあると「魂」が沈み込んで眠れるんですが、少ないと「魂」がフワフワ外に出て行く…。その「魂」が見ているものが、中医学的にみた「夢」なんだそうです…。つまり、「夢をとりとめなく見る…」という人は、「血虚」の可能性がある…というわけです。

その場合、「龍眼肉(りゅうがんにく)」や「酸棗仁(さんそうにん)」で「心血」「肝血」を養うことが改善につながると考えます。気血双補剤の「心脾顆粒(しんぴかりゅう)」や養心安神剤の「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」などで対応していきます。

ちなみに「怖い夢を見る」というのは「痰熱(たんねつ)」…なんだそうです。その場合は燥湿化痰剤の「温胆湯(うんたんとう)」などが、それに対する漢方薬となります。