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漢方のキズ薬「紫雲膏(しうんこう)」。この「紫雲膏」は、幕末の名医、華岡青洲(はなおか・せいしゅう)が開発し、薬として利用したのが始まりです。
華岡青洲は、世界ではじめて全身麻酔による外科手術をした医師として知られている人物。ナス科の植物、チョウセンアサガオ(別名マンダラゲ)を主成分とする麻酔薬「通仙散(つうさんさん)」を作り出し、その効き目などを試す人体実験の実験台に青洲の母と妻がなったという話は有名です。
青洲は、チョウセンアサガオだけでなく、多くの薬草を栽培、研究に当たっていました。その中のひとつに紫草(しそう)もありました。勉強家の青洲は、中国伝来の紫草の効用を早くから知っていたんでしょう。
その根の部分・紫根を使った皮膚の軟膏「紫雲膏」を作り出したんです。「紫雲膏」はの効能効果は、しもやけ、魚の目、あせも、ただれ、外傷、火傷、肛門裂傷、かぶれ、ひび、あかぎれ、痔核に疼痛…など、皮膚の病気の万能塗り薬なんです。
「紫雲膏」という名前は、日中合作の形で生まれたそうです。「紫雲」と言うのは、中国で「成徳の君子のいる所にたなびく雲…」という意味があります。それと、「紫雲膏」の生みの親である青洲の幼名「雲平」をかけ合せて命名されたそうです。
「紫雲膏」は、漢方の本場中国でも、その評価が高いそうですよ。
「紫雲膏」の中の紫根(しこん)の紫色は、奈良・平安時代に高貴な色として貴族社会を中心に珍重されていました。江戸時代になると、庶民の間に浸透し、江戸の服飾文化になくてはならない存在となっていたようです。それと同時に、薬草としての価値も高まって、火傷や腫れ物などの皮膚疾患などを治す生薬としてはならないものとなりました。
紫根は以前、あるテレビ番組がもとで日本で大ブームとなった生薬です。覚えている方も多いのではないでしょうか?
紫根を水に入れ、弱火で煮詰めた化粧水で、シミやシワがあきらかに緩和されていったということでアンチエイジングの化粧水として紹介されたようでした。テレビの反響は大きく、そのときは紫根の入荷が困難になり、ご予約という形で対応させていただきました。
そのブームは一時的なもので終わりましたが、それは「女性の美に対する探究心はすごいな…」と改めて感じる出来事でした。
ウチの薬局でも、肌荒れや肌トラブルを予防するために、紫根の入った「瑞花露(すいかろ)」シリーズをおススメしています。