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山東中医薬大学附属病院主任医師である孫振高先生による「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」の子宮内膜受容性に対する影響~体外受精(IVF)-胚移植反復失敗例における臨床観察結果~」と題した講演。

孫先生は山東中医薬大学附属病院主任医師として、1日に約200人(最高で328人)、年間3万人の患者さんを診察されているそうです。

中国でも不妊症発病率が年々増加しているそうで、生殖補助医療(ART)は不妊不育を解決する重要な手段となっているそうですが、問題点も多いのだとか。例えば、排卵誘発剤を大量に使用したにもかかわらず妊娠率が30~40%に留まる一方、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が多発するなど…。

過去の研究で、中成薬(中国漢方)がIVFにおいて「卵子の質」と「子宮内膜受容性」を改善するのに良い結果を示していたことから、胚移植反復移植失敗(RIF)の改善策として、子宮内膜の状態に着目し、最新鋭の科学手段で「婦宝当帰膠」がRIFに対する影響を検証するため、臨床試験が行われたそうです。

RIFとは、IVF周期中に連続して胚(受精卵)を数回移植しても、胚が子宮内に着床する証拠を得られない現象だそうですが、実は「自然流産(RSA)」とRIFは同じ病理機序であり、免疫応答の発生時期が違うだけ…どのタイミングで発育停止になったかで分類するそうです。そして、文献によると、血中IL-17値が高くなると、免疫応答の異常(免疫排斥)を引き起こす可能性がある…とのこと。

今回、この臨床実験で「婦宝当帰膠」のRIFへの有用性が立証されたわけですが、この結果について、孫先生は

  • 「婦宝当帰膠」が、子宮内膜の土壌、厚み、温度に良い影響を与えた
  • 「婦宝当帰膠」は子宮内膜の血液灌流を良くし、子宮内膜の受容性(ER)を改善することにより、持続妊娠率の向上を示した
  • 「婦宝当帰膠」が患者血中IL-17値を低下させ、子宮内膜の受け入れ状態を改善し、胚の侵入・粘着に相応しい変化を導き、着床に有利な条件を提供できた
  • 子宮内膜血管新生指数(VI)、子宮血管血流と組織灌流指数(VFI)を高めて、胚と子宮内膜の免疫応答が正常になり、ERが改善された。

と結論づけられました。