皮膚病治療の三本柱

 皮膚病治療の三本柱は、内服治療外用治療と弁証スキンケア養生です。

中医学の皮膚病治療は、内服だけでなく、外用治療と弁証スキンケアおよび養生など、全面的なアプローチをしていくことが効果的です。

 内 服
急性期の炎症性の皮膚疾患の場合、紅斑(赤い)+滲出・びらん(ジュクジュク)+丘疹(ブツブツ)の症状が多く見られます。中医学でみると湿熱(しつねつ)血熱(けつねつ)熱毒(ねつどく)の場合が多く、清熱利湿(せいねつりしつ)涼血解毒(りょうけつげどく)の漢方薬を使います。
慢性期の皮膚疾患の場合、結節(ゴリゴリ)+鱗屑(カサカサ)+苔癬化(ゴワゴワ)の症状が多く見られます。中医学でみると血熱風燥(けつねつふうそう)内虚(ないきょ)の場合が多く、養血祛風(ようけつきょふう)潤燥止痒(じゅんそうしよう)、健脾補腎(けんぴほじん)の漢方薬を使います。
急性・慢性炎症が混在する混在期は、まず急性炎症の対応をしていきます。
皮膚症状の重症度に応じた投薬量の調整が必要です。ただし、ステロイド剤を使っている皮膚状態は、見た目が軽微であったりと漢方薬を選ぶときの基準となりにくいです。意外と体の中に強い炎症が潜んでいることが多いからです。
急性期(ジュクジュク期)、混在期(赤みのあるゴワゴワ期)、慢性期(カサカサ・ゴワゴワ期)を判断しながら、それに応じた対応をしていきます。

 外用と弁証スキンケア
皮膚は露出している器官であり、皮膚に発生する症状は目に見え、手で触れることができ、薬を直接つけることができます。そのため、外用とスキンケアは大変有効な治療手段です。

 養 生
養生の原則として自然の摂理に従った日常生活を送ることです。特に食事と睡眠は大切です。
夜の22時からはお肌のゴールデンタイムとも言われています。正しい睡眠中は修復ホルモンが分泌され、皮膚や体を修復されます。また、睡眠は体の健康を維持するために非常に重要です。
「欲得長生、腸中常清(長生きしたかったら常に腸をキレイにしておくこと)」という言葉があるように、食事の影響も大きいです。甘いもの、油っこいものや肉類、香辛料の多いもの、牛乳及び乳製品、タマゴ、アルコールなどは体に「湿熱」を溜めるので、控えめに…。煮物や和食中心で「腹八分目」で、旬の野菜を火を通してタップリと…。色々な種類でバランス良く食べることが大切です。

 内服は「内」から、外用と弁証スキンケアは「外」から、養生(食養生、禁忌、生活養生など)は
「本(根本)」から…ということです。